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ポジ熊の人生記

雑記ブログの育て方をメインコンテンツに、時事オピニオンや書評などを日々更新中です。

平成26年の出動状況から見る、救急車の適正利用についての考察

社会


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毎日毎日、サイレンを鳴らしながら走っている救急車の音を良く聞きます。そのたびに「1日どれくらい救急出動しているのだろう」という疑問が浮かぶのですが、今回は「平成26年消防白書」を紐解いてその背景などについて考察しました。

 

消防白書

総務省消防庁が毎年刊行している、火災・救急・救助などに関する統計データですね。

刊行物、映像データ等 :: 総務省消防庁

この中の平成26年のデータ、さらに「救急」に関して紐解き、抽出してみましょう。

 

平成26年の救急に関するデータ

http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h26/h26/pdf/h26_all.pdf

こちらからデータを拾っております。

出動件数

590万9367件(対前年比1.8%)

平成16年に500万件を突破し、右肩上がりに増加しているようです。

1日平均で1万6190件

5.3秒に1件

の割合で救急隊が出動したことになります。どうりでいつも走っているわけですねぇ。

国民24人に1人が救急隊に搬送

されたことになる!

これは重複者もいらっしゃるでしょうし、一概には言えませんが、身近にお世話になった方が多数いるということです。

種別内訳

急病:63.1%

6割以上がなんらかの疾病を発症又は増悪した、などの理由で搬送されているようです。

 

一般負傷:14.5%

平たく言うと「怪我」のようですね。転んだ、落ちたなど。蜂に刺された場合や喉つまりもここに分類されるそうです。何らかの外的要因により負傷した、ということでしょうか。

 

交通事故:9.9%

およそ1割が交通事故です。車×車、車×歩行者、自転車×自転車、自転車×歩行者など、様々なケースが考えられるでしょう。

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出動=搬送ではない

※ここからは概数です

590万の出動のうち、傷病者を搬送したケースは534万件。つまり、60万件程度は「搬送していない」ということです。

呼んだはいいが症状が治まったため搬送をキャンセルしただとか、既に亡くなられていただとか、そういったことが考えられますね。虚報や誤報もこの内に入っているのでしょう。

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注目すべきは「軽症者の割合」

搬送した530万件のうち、「軽症」が50%です。

軽症とは、入院加療を必要としない、いわゆる「日帰り」コースの場合ですね。これが一昔前から問題になっているわけです。

現在、救急搬送された場合の患者への自己負担はほとんどといっていいほどありません。病院によっては、救急搬送による診療で軽症であった場合は治療費を加算するところもあるようですが、これは少数派でしょう。

このシステムを逆手にとる形で「タクシー代わり」にコール119で病院を受診する方が後を絶たないようなのです。中には完全に支度を整えて救急車を待つ方もいらっしゃるそうで...

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救急業務の対象者とは

消防法第2条第9項で「救急業務」について規定しているので引用します

救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故(以下この項において「災害による事故等」という。)又は政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故その他の事由で政令で定めるものによる傷病者のうち、医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によつて、医療機関(厚生労働省令で定める医療機関をいう。第七章の二において同じ。)その他の場所に搬送すること(傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うことを含む。)をいう。

引用元:消防法

救急隊による搬送は「緊急に搬送する必要があるもの」である、そう規定しています。

これは抽象的でアテにならない部分が多々あります。個々人が主観で「俺にとって緊急だ」と主張すれば、それは緊急になってしまうような気もします。

ですから、ここらへんは「社会通念上」つまり「常識に委ねられている」とも言えそうですが、これによる救急車の乱用が問題になっているということなのです。

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啓発に力を入れているようだが...

http://www.fdma.go.jp/ugoki/h1907/190702-1_30.pdf

これは総務省消防庁救急企画室の「救急車の適正利用について」という情報提供用ページです。この中で「交通手段がない、どこの病院に行けばいいのかわからない」という場合は、まずお住いの市町村に問い合わせて聞いてみてね!と訴えております。

しかし、データで見るように救急件は右肩上がり、軽症者の割合も増加の一途を辿っております。なかなか浸透させるのには骨が折れるのでしょう。

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「タクシー代わり」の何がいけないのか?

税金を納めているわけだし、利用できる行政サービスは存分に使わなければ損!という単純な話ではないのですね。軽症者が救急車を呼び、その結果、「本当に必要な人」のもとへ救急車が向かえない窮状が露呈しているのです。

さらに、軽症者がバンバン運ばれてくる受け入れ側の医療機関もパンク状態。これでは必要な人へ救急医療が行き届かなくなるのも当然です。

「受け入れ病院のたらい回し」というのは高リスク妊婦のみの問題にあらず、こういった軽症者の状況もその問題を一層悪化させているのです。

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受益者負担は被医療格差を拡げる

「救急車を利用するものがその対価を支払えばいいのではないか」これは危険な仕組みです。

貧富にかかわらず、緊急に搬送が必要な傷病者を医療機関へ適切に搬送するのが本来の目的ですから、これがまかり通ってしまうと「救急医療を受ける者の格差が広がる」という事態に陥ってしまいます。

ただでさえ経済的格差が広がる中で、救急医療を受けることについて経済力で差をつけるなどということを行政側が容認すべきではない。私はそう考えます。

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難しい問題

コール119の判断を委ねられる我々としても困る部分はあります。「おじいちゃんがこのような状態だけど、これは救急車を呼ぶべきなのかな?」このような事態で線引きができる医療従事者が常に現場にいるとは限りません。

悠長に当番病院を調べている間に病状が悪化して手遅れにでもなったら。そんな不安だって当然ありますよね、大切な家族なのですから。

一人暮らしのお年寄りにしても、持病を抱えるなどして日ごろ不安がつのっている最中、具合が悪くなったら「これは救急車を呼んでいいのか?」などと考える暇もなく呼んでしまう気持ちは十分に解ります。

こういったところに「救急車の適正利用」の難しさが孕んでいるのでしょうね。

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具体的対策を考察

箇条書きにして考えうる案とデメリット(赤文字)を述べます。

①受報側(消防指令台)でトリアージする

119を受けても、軽症と思われる事案には救急車を向かわせず、当番医などをお知らせします。

電話口のため重症度の判定が視覚的に難しい

事故があれば消防側の責任は免れない(要法整備)

②出動した救急隊でトリアージする

現場で軽症と判断した最高責任者が、搬送の必要がない旨を伝えて引き揚げます。視覚的にプロが軽症であると判断する意味では①より確実です。

事故があれば消防側の責任は免れない(要法整備)

③救急要請のガイドラインを整備する(国主体)

大きな予算付けをして、各メディアを活用した普及啓発を積極的に行います。

予算編成に至るまでのプロセスが煩雑

浸透するかどうかが不透明

具体的数値を盛り込むなどしなければ、軽症者の救急利用が減る見込みが薄い(恣意的解釈)

 

少し考えてみましたが、なかなか難しいですね。

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あとがき

家族の中で、誰か一人でも救急車についての知識や地域の医療事情に精通している方がいれば、家族の有事に適切に対応はできるでしょう。また、不適切な利用に至るケースも少なくなるのではないでしょうか。

家族を守るためにも、救急医療の崩壊を助長させないためにも、基礎的な医療の知識や法制を含めた行政サービスの知識を身につけるのも大変有意義ではないかと考えます。

対策案を考えましたが、どうも現状を打破できる妙案は思い浮かびません。ここはとりあえず、大事な家族を守るために個々の家庭内で努力することにいたしましょう(;'∀')

 

以上です。

 

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