カロリー制限と運動で痩せることが難しいことを説明します。
カロリー制限は無駄
1日2000㎉を摂取していたとして、それを1500㎉に制限する。
これで月30日間として500㎉×30=15000㎉を落とせるので脂肪が約2kg落ちる!
という真っ赤な嘘を今まで信じてきた皆さんに罪はありません。
というのも、マスメディアを始め多くの情報発信媒体はのようなことをさも真実の如く喧伝してきたらかです。
でも、本当に痩せないんですよ。実例を見ましょう。
- 1990年から2010年にかけて行われた米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータでは、「摂取カロリー増加と体重の増加に相関関係はない」との結果
- 1919年、ワシントンのカーネギー研究所で、摂取カロリーを減らしたときにエネルギーの総消費量がどのように変化するかについての詳しい研究が行われた結果、食事制限をした実験参加者の総エネルギー消費量は30%も減少
- カロリー制限を実施した被実験群の男性は安静時代謝量が40%も減少
- 7年半にわたる研究により、摂取カロリーを20%OFFし運動量を14%UP、脂質減を実施した実験群と、高カロリー高脂質の食事を実施した比較群で結果は変わらず
かなり衝撃的な結果です。
つまり、食品に明示されたカロリー量などを参考にしてダイエットをするというのはほぼ無意味ということになります。
レストランのメニューに、ご丁寧に示されたカロリーを見る必要もほぼないということです。
摂取カロリーと消費カロリーは独立した関係にあるという間違った認識を正す必要があります。
つまり、この2つは互いに緊密な関係にあるということです。摂取カロリーを減らせば、消費カロリーも減る。摂取カロリーを減らしたことで基礎代謝が減ってしまった例は先ほど挙げたとおりです。
結果的に、人間の体重の減少というのは最小限にとどまるように設定されているということです。リバウンドというのは、正常な生理的反応なのです。
僕の場合はここ3か月ほど1日1食生活を送っていますが、もし摂取カロリーと消費カロリーが独立した関係であるならば、従来3食摂取していたカロリーが1食になって、晩御飯の比率や晩酌の影響はあれど1日の摂取カロリーが1/2になったとします。
3000㎉が1500㎉になったとして、1か月の減カロリーは45000㎉。それが3か月なので135000㎉ということになり、脂肪細胞でいえば20kg弱も減らなくてはいけない。
しかし、ここまでの体重減の減少は見られません。大きく減量に成功はしましたが、これは決して摂取カロリーを減らしたことによるものではないのです。
そもそも、基礎代謝量が一定であるという考えも間違っています。
人によっては50%も基礎代謝量は上下します。なので、摂取カロリーと消費カロリー(運動をのぞく基礎代謝)を定数を当てはめて計算することそのものが無駄です。
食べなければ、基礎代謝は減る。食べれば基礎代謝量は上がる。これは過去の実験でも実証済みです。
そして、成分。
食べるものの成分が重要です。
精製された糖質を摂取している限りは、どれだけカロリーを制限してもただひたすら太るだけ。これもインスリンの分泌が関与します。
人間が摂取する3大栄養素のタンパク質・脂質・炭水化物。食物の性質はそれぞれ違います。カロリーだけで食物ははかれないのです。
精製された糖質は人体にとって害でかなく、それは菓子パンやパスタなどが該当します。これは過剰にインスリンの分泌を促します。
実はタンパク質もインスリンの分泌を促すとのことです!なのでダイエットに鶏むね肉がいい!という定説は覆ります。
炭水化物は精製されていない米や根菜に含まれるものが一概に害とは言えないそうです、中国や日本などアジア圏ではかつて炭水化物を主体にした食生活をしていたにも関わらず肥満は少なかったわけです。
真の悪は生成された糖質、小麦ということになりますね。
運動でも痩せない
- ニュートリション・サイエンス・イニシアティブ共同設立者のピーター・アッティア医師は遠泳を得意とする選手。ロサンゼルスからサンタカタリナ島までおよそ40kmを泳ぎ切った十数人のうちの一人。運動選手にとってはごく一般的な高炭水化物の食事をとり、毎日3、4時間の練習を丹念に行っていた。それなのに、当時の彼は自分が最適だと思う体重を18kgオーバーし、BMIは29で体脂肪率は25%だったという。
- 1977年から2008年まで、普段から運動する人の割合が男性32%→39%、女性21%→29%に増えたが、肥満率の減少にまったく効果がなかった。(英国)
- タンザニアの狩猟民族ハッツァは1日に24~32kmも足で移動する。にもかかわらず燃やすカロリーは欧米諸国の一般的な成人とほとんど変わらなかった。(Pontzer H他,2012)
- 活発に活動する哺乳動物と、2015年の肥満人間の身体活動を比較したところ、肥満人間の身体活動量は決して少なくないことがわかった。
- 被験者の運動を週5回に増やし、1回あたり600㎉を消費させ、それを25週間にわたって調査した。結果は体重4.5kg減。減ると予想された16kgには及ばなかった。(Ross R他,2001)
結論から述べると、運動による消費カロリーは総消費カロリーの5%程度しか占めておらず、残り95%は基礎代謝が占めているという事実があるから、運動で痩せることが難しいのです。
結語
もし体重を減らしたいのであれば、極端なカロリー制限やつらい運動を頑張る必要はありません。1日1000㎉摂取でひもじい思いをする必要もなければ、1日1000㎉を運動で消費するような苦しい思いもする必要がないのです。
体重を落とすための究極のソリューション、それはファスティングです。食事と食事の間に間食等をせず、時間をおいてください。12時間でも、18時間でも、24時間でもOKです。そうすれば、自然と、体重は減少していくでしょう。ここにカロリー制限や運動の概念はありません。
ファスティングはカロリーを減らすために行うのではなく、インスリンの過剰分泌を抑えるために行います。くわえて、長時間食べないことにより体内のオートファジー機能を活性化させ、脳の認知機能向上を含めた総体的な健康に貢献します。
ファスティングについての記事はこちらでまとめていますので、ダイエット含め健康な日々を送りたい人は是非ともご参照ください。
【参考書籍】