実のところ、私は誰でも太らせることができる。
どうやるかって? インスリンを投与するのだ。
【引用】トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ 145p
- どれほど意志が強くても
- どれほど運動しても
- どれほどカロリー制限しても
充分な量のインスリンと十分な時間さえあれば、確実に太る!
- インスリン値
- 体内インスリン量が多いほど太る
- 「血糖値を下げると太らない」は嘘
- 5つの横断調査
- インスリンは満腹ホルモンを打ち消す作用がある
- ストレスでも太る
- 太りにくい睡眠時間は7時間
- 体重が落ち始める条件は「インスリン値」にある
インスリン値
肥満の人のインスリンは痩せている人に比べておよそ20%高い。
高インスリン値は、胴囲・ウエスト・ヒップ比などの指標と強い相関関係が認められる。
ある実験で2つのグループのうち片方にインスリンを投与した結果、体重も体形も生活も変わらないにもかかわらず投与群の体重が増えてしまったのです。
これが何を意味するのか。つまり、体重増加の首謀者はインスリンということです。
体内インスリン量が多いほど太る
2型糖尿病の患者を長期にわたって調べた結果でも、インスリンの効果によって体重が増えることがわかっています。
インスリンの直接投与でも、体内のインスリン値を上げるスルホニル尿素薬の経口投与でも結果は同じでした。
医師が与えるインスリンの量が多くなればなるほど、患者の体重は増えたのです!
「血糖値を下げると太らない」は嘘
インスリノーマという疾患は膵臓に腫瘍ができるもので、インスリンを過剰分泌させます。つまり、血糖値が下がってしまうのです。一連の研究では72%の患者に体重増加が見られました。
つまり・・・血糖値を単純に下げたところで体重は減らないということ。これも、冒頭から示す事実と照らし合わせれば整合性がとれます。体重をコントロールしているのは「インスリン」なんですね。
5つの横断調査
3つの薬で比較
- メトホルミン(血糖降下するがインスリン値は上げない)
- インスリン直接投与(血糖降下、インスリン値上昇)
- スルホニル尿素薬(血糖降下、インスリン値上昇)
→メトホルミンを摂取したグループに体重増加は見られなかった。
インスリン感度を上げる
チアゾリジン系薬剤(インスリン感受性増)を投薬→体重増加
インクレチン・ホルモン
インクレチン・ホルモン(空腹を感じにくくする、吐き気を催す、インスリン分泌増加)投与→多少の体重増加をもたらした。
炭水化物の消化を阻害
αグルコシターゼ阻害薬(吸収するグルコースが減り血糖降下)投薬→インスリン値減少→十分な体重減少
SGLT-2
SGLT-2(食後のグルコース量を35%、インスリン値を43%下げる)投薬→2.5%の体重減少→1年以上継続
結論としては、すべてのケーズでインスリンが強く影響しているということ。
体重増減の鍵はインスリンが握っています。
インスリンは満腹ホルモンを打ち消す作用がある
レプチンは食べる量を減らして体を理想体重に戻すよう、視床下部に働きかけるホルモンですが、インスリン値が高くなると満腹信号を出すレプチンの働きが阻害されてしまいます。
インスリンは体脂肪の蓄積を促すホルモンで、レプチンはその逆です。この2つは拮抗しています。食事の際に太った人と痩せている人では、ホルモンの反応が違って、太った人はインスリンが出やすくレプチンが出にくい。痩せている人はインスリンが出にくくレプチンが出やすいということです。
太った人はまるで負のスパイラルに陥っているようです。
ストレスでも太る
ストレス太りとはよく言いますが、実はこれ、ホルモンの働きによるものでした。
というのも、ストレスを受けた際に分泌される「コルチゾール」は、短期間ではエネルギーを貯蔵庫から取り出して使う作用(グルコースを燃やす作用)があるのですが、長期間になるといつまでもグルコースを燃やさないといけないため血中のグルコース値は高いまま。すると、インスリンの多量分泌が促されてしまう、結果的に太るということです。
短期的にストレスを受けても肥満には影響しませんが、長期化すると危険ということです。もしストレスを受けても、それを解消することが重要であり、慢性化は肥満の原因になります。
そういう意味で運動はストレス解消になるため、ホルモンバランス的に肥満を解消するには適しているといえます。運動で痩せるのはカロリー消費のためではないのです。
太りにくい睡眠時間は7時間
研究の結果、体重が増えるかどうかを分ける睡眠時間は7時間ということが判明。
一晩、睡眠不足になると血中のコルチゾール値が100%以上増えます。翌日になってもまだ50%弱はコルチゾール値が高いままです。
これが何を意味するのかはもうおわかりでしょう。睡眠不足が続けば、確実に肥満への道をまっしぐらです。
体重が落ち始める条件は「インスリン値」にある
1型糖尿病患者の中には、投与するインスリン量を減らすと顕著に体重が落ちるため、美容目的にそれを実行してしまう人もおり、止められなくなるケースもあるそうです。
どうでしょうか、この事実。体重増加や減少は全てインスリンが握っていたのです。僕らがどれだけカロリーや運動量を気にしても無駄だった、というわけです。驚愕ですね。
もし、体重をコントロールしたいのなら、インスリン分泌をいかにコントロールするかが肝になってくるというのが結論です。ここから導き出せるのは、食事もカロリーではなく成分(インスリンの出にくいもの)であり、食事は回数を多くとるより回数が少ない方がいい(インスリンが出る機会を減らす)であり、運動はストレスをコントロールしてホルモンバランスを整えるものだった、ということですね。
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