夏目漱石の『坊っちゃん』を読了しました。
不器用だけど真っすぐで江戸っ子気質の坊っちゃんが繰り広げる田舎中学校の痛快な物語に終始笑わせてもらいました。これ10日間で書き上げたというのだから凄いですよね。
ところで、作中には「○○円」「○銭」「○厘」など値段が頻繁に出てきますが、
現代(平成28年)でいうと何円くらいになるのでしょうか?
参考とするサイト
明治時代の「1円」の価値ってどれぐらい?(1) | お金の歴史雑学コラム | man@bowまなぼう
単純に、明治30年頃の物価と、今の物価を比べると、今の物価は当時の3800倍ぐらいです。つまり明治時代の1円は、今の3800円ぐらいに相当することになります。
とはいえ、昔のお金と今のお金の価値を比べるのはなかなか難しいことです。(中略)いまよりも、職業によっての所得格差も大きかったようです。お給料が安ければ、それだけ1円の重みも違います。(中略)庶民にとって当時の1円は、現在の2万円ぐらいの重みがあったのかもしれません。
明治時代の庶民にとって金銭感覚が「1円=2万円」だとすると
明治38年
あんぱんが1個1銭=200円
明治37年
うどん・そばが2銭=400円
明治35年
カレーライスが5銭~7銭=1000円~1400円
明治34年
ビール大瓶19銭=3800円
ビールは庶民には手の届かない嗜好品となっており、当時の物の価値について現代との相違が現れています。
庶民の金銭感覚によって正確な現代換算はできないと考えてるにしても...
当時は5円札なるものがあり、これを下女にチップとして渡した際に「目を回すに違いない」と述べており、ほかの物価についても鑑みると「1円=3800円」換算くらいが物語を読むうえで実感が沸くのではないかと思います。なので以下に述べる物価換算は「1円=3800円」として考えることとしました。
※『坊っちゃん』が世に出たのは明治39年
『坊っちゃん』作中の金額換算
清からもらった小遣い(3円)
11,400円
兄から出立金(手切れ金)としてもらったお金(600円)
2,280,000円
赴任した中学校の月給(40円)
152,000円
東京出発時に懐に入れていた学資の余り(30円)
114,000円
下女に渡したチップ(5円)
19,000円
東京までの旅費としては足りない金額(9円)
34,200円
売りつけられそうになった花鳥の掛物(15円)
57,000円
団子2皿(7銭)
266円
山嵐から奢られた氷水(1銭5厘)
57円
清が為替で送ってくれたお金(10円)
38,000円
汽車代(上等5銭・下等3銭)
190円・114円
赤シャツの家賃(9円50銭)
36,100円
物価を現代に単純換算はできないなぁ
団子2皿266円だとか、氷水1杯57円というのは現実味があるけど、東京まではとても行けない旅費と作中で述べている34,200円や赤シャツ(教頭)の家賃36,100円というのは、現代の金銭感覚とはズレを感じます。ものによってはその2倍の価値があったり、逆に半分の価値じゃないかと思うことも。ここらへんが冒頭で述べていた「庶民の金銭感覚でいうと...」という部分に関わってくるのでしょう。
明治30年代の物価を現代換算すると「1円=3800円」というのは、おおよその数字として知っておいて損はないと思います。だけど、その時代のモノに対する価値というのは単純に金額を3800倍すればはっきりとしたものが掴めるかというとそんなことはなくて、当時それがどれだけ価値があったかを考えねばいけない、ということかと。
あ、『坊っちゃん』未読の人は是非ともご一読を。お別れ会の宴会の模様を描いたシーンは最高に笑えた!