羆の人生記

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本『ネット炎上の研究』感想 炎上の正体を見破れ!

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今回は書籍『ネット炎上の研究』の感想を書きます。

この本で示している事実を端的に述べるとともに、自身のブロガーとしての炎上に対する意見を記述します。

結論

炎上に書き込みをしたネット利用者は全体の0.5%に過ぎず、その中でも個人に直接攻撃を繰り返してサイト閉鎖にまで追い込む人間は数人~数十人というオーダーになる。

 

にもかかわらず炎上は社会全体を巻き込み、多大な影響力を持っている。

 

ちょっと驚きですよね。炎上事件って、社会全体で総バッシングして対象者を追いつめるイメージを持っていました。でも、実際には非常に少ない人間の数によって炎上は引き起こされていた。

 

この数字は当然、確たる裏付けがなければ説得力がありません。ですが、書籍内では過去の書籍や独自に調査した統計的データに計算式を当てはめ、各種バイアスを取り除いてこのような結論を出しているので説得力は抜群です。詳細は書籍内を見ていただきたい、巻末の参考文献の豊富さに驚くはずです。

 

僕的にはこれら客観的データよりも

 

2ちゃんねるにおける過去の炎上事件の実行犯は5人以下

ー元管理人 ひろゆき

 

ニコ動荒らしはサーバーのアクセス状況から少数であることは把握している

ー運営者 川上量生

 

靖国問題で炎上したサイトの700に及ぶ膨大な書き込みについてIPを調べたところ、たったの4人だった

ージャーナリスト 上杉隆

 

8年間に及ぶスマイリーキクチ冤罪事件の荒らし主犯は18人

ースマイリーキクチ

 

五輪エンブレム事件で定期的に騒いでいるのは60人程度ではないか

ーブロガー 山本一郎 

 

これらの事実が列挙された箇所の方が、炎上に直接かかわる人間がいかにノイジーマイノリティであるかを物語るに十分な説得力を帯びているように感じました。

 

なお、炎上参加者0.5%の中でもごくわずかな「実行犯」のパーソナリティはどのようなものなのか。その特異性についても大胆な切り口で迫っているので、詳細は書籍を読んで確認してほしいです。

 

少数にも関わらず脅威となる

炎上参加者は少数である、では恐れるに足らないものとして看過していいのでしょうか。これは今まで炎上事件のその後どうなったかを鑑みると、とても炎上が見過ごせるものではないことは理解できますよね。

 

被対象者の解雇・退学

芸能人の活動自粛や半永久引退

企業の大規模な賠償

 

などなど。自業自得な面も多々あるのでしょうが、自由意志の発信によりここまでの社会現象や多大な影響を引き起こしてしまうのは脅威というほかはありません。

 

書籍内ではこれら影響のほか、炎上の社会的リスクを以下のように述べています。

 

「炎上を避けるあまり中庸な意見者が情報発信しなくなり、両極端な意見を持つものばかりとなって、結果的に生産的な議論を生まなくなる」

 

犯罪自慢やアンモラルな行為を発信して糾弾される部分と、どちらともとれるような意見を述べて炎上してしまう案件を混同できないにしても...

 

本来犯罪行為というのは警察が取り締まり、裁判所が量刑を下すのがこの国の仕組みです。にも関わらずネットで私刑とも呼べるべき行為がごく少数者によって引き起こされ、それが許されてしまうと多くの情報発信者を委縮させることになる。結果、生産性のある議論は成り立たずに両極端の意見者同士がいがみあうサイバーカスケードを作り出す。このように述べているのですね。

 

避けるべき話題

誰でもソーシャルネットワーク上において自由に意思発信できるというのは素晴らしいことで、社会に埋没してしまうマイノリティの光明になり得ることは間違いありません。 かくいう僕もかつてブログに人生を救われた経験がありますので、今は本当に良い時代だなと痛感しています。

 

ですが、先述したように意思発信には常にリスクが付きまとう。誹謗中傷はもちろんですが、時には社現象まで巻き起こす炎上ですね。これは常々、避けたいと考えています。

従来は泣き寝入りせざるを得なかった弱い個人が、企業に対して反撃できる大きな武器になる意思発信ですが、警察より先に過度な制裁に発展し、私刑にもなりえる恐ろしい力を秘めているのも事実ですからね。

 

ブロガーの僕としては、意思発信者には炎上を避けるための情報社会における処世術は身につけておいてほしいと考えます。そこで、普段どのような話題を避けるべきかを、書籍を参考にして以下に列挙します。

 

炎上しやすい話題政治 外交 宗教 民族 教育・学校 性別(ジェンダー) 地域 差別問題 環境問題 原発・放射能関連 喫煙 アイドル関係 スポーツ関係 オタクネタ(アニメ・ゲーム等)

 

「おいおい、こんなの気にしてたら何も書けないだろう」と思われるかもしれません、ですが炎上を絶対的に避けるのであればこれらを意識するのが上策なのです。

 

・・・というのも救われない話なので、過去の経験から少しアドバイスを。赤文字は話題の内容に関わらず燃えやすいですので注意してください。僕はこれらについては記事ネタにすることを諦めています。

 

赤文字以外は書き方によっては燃やさずに済ませることが可能です。例えば両極端な意見を避ける、高圧的にならない、攻撃的な文面にしない、などなど。装飾はいくらでもできます。

 

表現の仕方と内容

とがった論調だと、読み手にネガティブな感情を抱かせてしまうリスクを生みます。文末にしてもそうですね、「だ、である」調よりも「です、ます」調のほうが柔らかいイメージを与えることができます。歯切れが悪くなる、文末が単調になるなどのデメリットもありますが、僕は現在は「です、ます」調で記事を書くことにしています。傷つく人を増やしたくないからですね。

 

文末をいくら柔らかくしたところで、書いてある内容がエグければ逆に嫌味なほどに人を攻撃することにもなりかねません。「です、ます」調は人を傷つけないためのオマケ程度の要素であり、やはり書く記事の内容をしっかりと精査して偏った攻撃的なものになっていないか注意する必要があるでしょう。

 

「傷つく人を出したくない」これがまさに書籍で述べるように中庸な意見を排除することにもなりかねないのでしょうが、炎上が脅威である以上は各個人で対策を立てないと、とてもじゃないですがインターネットで意思発信を継続することなどできません。失うものが何もなく、強い意志をもって偏った情報を流したい猛者であれば話は別ですが、いち弱小ブロガーがこの世界を生き抜いていくには、やはり周囲を見渡しながら進んでいくしかないのです。

 

まとめと後記

まとめますと

  • 炎上参加者はごく少数
  • 炎上の社会的影響は脅威
  • 炎上は中庸な意見を排除している
  • 個人は炎上を避けて情報発信すべき(私見)

こんなところでしょうか。

 

「なんだよ結局炎上は怖いじゃん!」って思われた方、残念ながらその通りです。書籍でも炎上そのものを「気にするな」とは説いておらず、むしろ規制は難しい、と述べています。ただ、統計的データなどを用いて客観的に炎上というものを見つめ、その実態を明らかにしたうえで取りうる対策やシステムなどの提案を行っているのです。

 

この本の画期的なところは切り口が「炎上怖いから絶対避けて!こんな話題はやめたほうがいい!」というものではなく、「炎上に対しては謝罪が最善策ではない、自分が間違っていないと思うなら意に反して謝罪する必要はない」とも述べている。これは既存の炎上対策マニュアル本とは一線を画す部分です。

 

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は孫氏の兵法として有名ですが、まさにこれです。実体のないものに対して人間は呪術的・神秘的な不可解なものとして闇雲に恐れるものですが、その実態を知っているからこそ、理論的な対処が可能になるもの。

 

僕はね、ブロガーとして炎上の実態を知ったうえで、これからも「炎上を避ける運営方針を続ける」ことを選択するのです。

 

この本を読んで本当に良かったですよ、今までは良くわからないものに恐れおののいて情報発信をしていたわけですから。しかし、炎上の解剖は終わったのです。中身は救いようがないくらいの事実でした、炎上はやっぱり脅威なのです。しかし、現実として捉えることでそれを避ける術を身につけることもできたのですね。

 

「炎上」の全てが、この本に集約されています。

日頃から情報発信される方は、是非ともご一読を。