藤原和博さんが書いた『本を読む人だけが手にするもの』を読み終わりました。
とても読みやすく、我々の読書に対する視点を確実に広げてくれる書籍です。
拙い文章ではありますが、その魅力をお伝えします。
序章
まず初めに、日本はかつての「成長社会」から「成熟社会」へ移行しており、これを理解していないと読書の意味は考えられない、と説いています。
成長社会では「全員一緒」という時代でしたが、成熟社会は「個々の時代」という時代だそうです。
結婚式の引き出物についての「カタログ方式」であるとか、家庭内でのTVの台数や携帯電話の台数など、ミクロな視点からも「個々の時代」というものをわかりやすく説明しています。
「全員一緒」のかつての日本では、みんなが考える幸福のイメージが似ていました。
だから社会人も学生も、何の疑問もなく敷かれたレールに乗る人が多かったのです。
しかし「個々の時代」となると、そうもいかなくなってくる。
「全員一緒」世代は親から上の世代です。
その世代が教える幸せというのは、現代の「個々の時代」世代にはもはや通じません。
国家や企業が絵にかいたような幸せを保証してくれないという事実が現代の世代に露呈してしまったのですね。
つまりこれからは、個々人が自分の幸せの形を見つけなければいけない時代になってしまったと。
これを前段とし、自分なりの幸せを見つけるためには知識と教養が必要であり、それには読書が欠かせない、と説いています。
確かに、私も30代に突入してから、自分の幸せというものがわからず、漠然とした不安を抱えていました。
祖父母や親が教える幸せというのは、それこそ成長社会における幸せのイメージ「就職・結婚・マイホーム」でしたし、自分もそれを疑わずに無思考で生きてきました。
しかし、厳しい現実が待っていたのです。2度の離婚を経て、「結婚だけが幸せなのだろうか」とも思うようになりました。
親の世代が教える幸せに反して生きる自分を肯定できず、後ろめたい気持ちが強くなっていました。
ですが、最近では、色々な本を読んで人生観というものが徐々に変化したようで「どんな生き方でも、自分が信じた道を行くのが正しいのだろうな」と考えるようになった。
そんななかで、成熟社会において幸せは自分で作り上げていくものだ、という部分を見て、スッと胸の中にその言葉が入っていったのです。
第1章
非常に面白い理論を展開しています。
内容は、
パチンコをする人、
スマホゲームをする人、
読書をしない人、読書をする人
から、
「パチンコをする人」を除いて半数になり、
「スマホゲームをする人」を除いて半数になり、
「読書をしない人」を除いて半数になる。
そこで1/2*1/2*1/2=残った「読書をする人」が1/8で、ほぼ10人に1人の人材だと説きます。
読書をする人以外は時間のマネージメントができておらず、無駄が多いのでそこで差がついているとのこと。
これまた大胆な理論ですね(笑)
でも、確かにパチンコやスマホゲームをやっている人より、読書をしている人の方が時間を有効に使っているでしょうね。
「読書をしない人」については、他に何をしているかにもよるでしょうけども。
人生の50年間で使える時間についても触れられており、睡眠時間が8時間だとすると、1年間で使える時間は約6000時間です。
30歳の人が50年間、健康に過ごせたとすると使える時間は30万時間で、この間にいかに知識を吸収したり、アウトプットするかが人生を生きることで肝心であると説きます。
そこで読書というのは非常に重要になってくるのですね。
第2章
読書をすることは他人の脳の一部を自分の中に吸収できることであると説きます。
書籍は著者の知識の集大成であり、それらの知識を1000円前後の出費で得られるということがいかに有意義かを説いています。
これについては私も同意です。
なので、書店で面白そうな本を新刊で購入することに抵抗はありません。
第3章
著者は子供の頃に好きでもない本を無理やり読まされ、それからしばらく書籍から離れてしまった経験を持っています。
なので、読書は大切だけど、読みたくない本は無理に読む必要はないよ、とおっしゃってます。
私がヒヤリとさせられたのは、純文学も読書に値する書物である、という部分を読んだときですね。
純文学は現代を生きる人間の心理や生活をリアルに描写しており、そういった部分を知ることで人間としての深みが出るそうです。
ちょっと読まず嫌いしてた部分がありました...これからは純文学も読みます(笑)
第4章
「情報編集力」といって、答えのないテーマを議論したり、自分なりの回答を導き出す力が、現代には必要だということ。
そしてその情報編集力を高めるために、いかに読書が大切かということを説いてます。
ここでは5つのリテラシーと1つのスキルを高める方法を、読書の効果を交えて説明しています。
大変ためになるお話ですので、詳細は書籍で確認してくださいませ。
第5章
本嫌いの人でも読書習慣を身につける方法を論じております。
私が面白いな~と感じた部分は、ベストセラーでも斜に構えずに乱読するのもアリだよってところですね。
それらは選ばれるのにも理由はあるし、読む価値があると。
変なプライドで多数派を排除してしまうと、良書に出会える機会を減らしますよ、ということを教えてくれます。
ここはなんだか、見ていてほっとしました。
全体で一番感銘を受けた部分
第5章の中にそれはありました。
「本は読んだだけじゃ身に付かないよ。
それを何らかの形で外に出さないと。
原稿用紙に書いても良いし、誰かに話しても良い。
SNSやブログに書いても良い。
書評という形で、自分の言葉で本を紹介するのもいい。
なぜこれらが重要かといえば、読んだ本を誰かに説明したりアウトプットしたとすれば、それは成功体験になるんだよ」
ということをおっしゃってます。
まさに目からうろこです。
ブログで書評を行うことは、アウトプットを行ったという成功体験も兼ねていたということなのです!
素晴らしい...あ、この記事が成功かどうかは微妙ですね。
まぁ3000文字程度は書けているので、いびつですが成功ということにします(笑)
あとがきの後ろでは、藤原さんがお勧めする色々なシーンで活躍する50冊も紹介されています。
ビジネス書だけではなく、昭和史や戦争関連、お子様の教育にも活用できる書籍が目白押しです。
ここを参考にして次の読書する書籍を探しても良いかもしれませんよ♫
結語
ということで藤原和博さんの著書『本を読む人だけが手にするもの』を、駆け足で紹介しました。
大変読みやすく、私のような読書経験の浅い人間でもスラスラと読めて頭に入ってきます。
これをバイブルに、あなたの読書人生をスタートさせてみてはいかがですか?
これからの時代、自分の幸せを見つけるには読書は欠かせない習慣なのです。
あ、それとブログを書く方には言わずもがな、読書は必須です。
色々な人の知識や経験、藤原さんがいうところの「脳のかけら」を自分の頭に吸収することができるのですから、ネタ切れと無縁になるに違いありませんよ。
是非ともこの本を読んで、読書習慣を身につけて下さいませ。
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