献血してきたんですけど、結果として
- 過去にB肝(B型肝炎)感染歴あるよ
- だから今後は献血をしないでね☆
というメールが日本赤十字社から届いたのでそのお話をします!
町で献血を呼び掛けている人を見かけて
ここでは献血した経緯を書きます。
某日、街頭にて。呼び込みする人ばりに一生懸命プラカードを掲げ「献血お願いします!」と頑張っているおじさんがいまして。「大変だなぁ」なんてぼんやり考えつつその時はスルーしたんですよ。で、何故かその後にじわじわと(献血・・・献血・・・)と心の中でマントラのように繰り返される「献血」に僕の心が動きまして
よし、献血しよう
と相成ったわけですな。
気まぐれ、というのもあるかもしれないけど「献血で社会の役に立てるのなら、僕の血の200mlや400ml程度はもっていってもらおう。そうすれば自分も輸血される人も幸せになれる」って漠然と考えたんです。社会貢献になるかなって。
踵を返して街頭に戻ったころにはおじさんいなくなってた。はえーな(笑)仕方がないのでスマホで「献血 旭川」と検索、どうやら駅前AEON最上階で献血を受け付けているらしい、と。僕は迷わず献血ルームへ向かいました。
あれよこれよで献血終了。
- 検査の針のほうが痛い
- 血を抜く針は太すぎてヴィジュアル的に怖い
というのが所感。
今後の献血はご遠慮ください
数日と経過しないうちに日本赤十字社から献血の検査結果が届きました。過去の数値も横並びになって変化が一目瞭然。肝臓の数値がちょっと悪くなってたり、白血球が増えていたり。微妙な変化を眺めながら各検査結果項目を調べて自分の血液成分を俯瞰するのもまた面白いなって感じました。
「これで献血終わった、また3か月後にいこう♪」なんて考えていた数週間後に以下のような内容の第二報が届いたんです。ザックリと箇条書きでいきます。
- B型肝炎関連検査結果でHBc抗体検査(CLEIA法)が陽性になったよ
- 過去にB型肝炎ウィルスに感染したことがあるようだけど、今は治ってるみたいだね
- 高感度検査のHBV核酸増幅検査(NAT)は陰性だから病院を受診しなくてもOK
- 今回献血してもらった血液は輸血用に使えないです
- HBc抗体検査の結果は今後も陽性である可能性が高いので、以後は献血しないでね!
- 献血へのご理解に感謝します
「まじで・・・?」
まぁ多少は驚きましたけどここまで大げさなものではなくて、「あ、そうなんだ。ふーん、残念だけど仕方ないね。それに今は治ってるし病院にも行かなくていいみたいだしOKOK!」くらいで流しました。
で、「あ、これは記事になるな」と考え、同じように献血の結果メールが送られてきて驚いてしまう人のために、自分なりに調べてキーボードを叩いている次第なんです。
送られてきたメールでわからない用語を調べた
そんなことより、初めて受けた世界史に出てくる何文字かのアルファベット横文字よろしく、なんのことやらさっぱりわからん単語がいくつも出てくるので調べました。
HBs抗体
B型肝炎ウイルスは直径42nm(ナノメーター:1nmは1mの10億分の1)という非常に小さなウイルスですが、その外殻を構成するたんぱく質が「HBs抗原」なのです。
ここでは「抗原」となっています。
CLEIA法
試薬の反応により、複合体が形成されます。 この複合体を磁力で集磁した後に洗浄を行い、未反応物を除去後、発光試薬を添加し発光量を測定します。
なるほど、全然わからん。
HBs抗原検査薬は4種類に大別され、そのうちのひとつがCLEIA法。
基質を添加して発色させ、その吸光度により判定する。
光を当ててその結果で判定する検査のようです。
これ以上掘っても理解できないので止めます。
NAT検査
HBV※それ自体が血液中に存在しているかどうかを検査する方法としては、HBVの遺伝子の一部を増幅して検出する核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test: NAT)という検査法が実用化されています。
※管理人注 B型肝炎ウィルス
なるほど、NATというのは血液中にB型肝炎ウィルスがいるかどうかを調べるための方法のひとつ、というわけですね。
輸血用血液の基準変更があった
送られてきたメールの中で、以下のような説明がありました。
ここも箇条書きでザックリ。
- B型肝炎ウィルスに感染した場合、症状なく治る場合が多い
- 自分が感染したことを知らぬまま生活することも多々ある
- 治った後は以後に問題なく生活できるため、そのような人の血液も今までは輸血用に使っていた
- しかし、近年ごく稀に治った後でも血液中に微量のB肝ウィルスが見つかる場合が出てきた
- この血液を輸血することで輸血後のB肝感染の原因になっていることを確認済み
- 平成24年8月6日より献血血液の基準変更実施
- HBs抗体陽性者の血液は輸血用として使用しないこととなった
- これまで続けていた方には申し訳ないが、以後の献血はご遠慮願う
以上のことは
検査基準の変更(平成24年8月)|血液事業の重要なお知らせ|献血する|日本赤十字社
こちらのウェブページとほぼ同様のことが書いてあったのですね。
B型肝炎陽性との結果に対する疑問と回答
「あなたB肝感染歴あるから献血しないで」って一方的に伝えたら、受け取る相手次第では狼狽、右往左往、悲嘆と歪んだ復讐心に火をともす結果にもなりかねませんよね。日本赤十字社は以下のようなQ&Aも書類として添付しています。
Q:B肝なんてなったことないよ、何かの間違いじゃない?
A:大部分の人は知らないうちに治るので自覚がない場合がほとんど。日本人の50代以上は3~4人に1人の割合で感染歴あります。
Q:私はB肝に感染してるの?
A:現在は治ってます、過去に感染したことがある、ということです。
Q:健康診断でも指摘されたことはないよ!
A:通常のB肝検診ではHBs抗原検査のみで、我々が調べている検査方法とは異なります。あなたは現在、治っている状態ですので、病院で指摘されることがありません。
Q:いつ、どこで感染したのさ?
A:特定困難。母子、性行為、血液、昔の医療行為(同一注射器による複数への予防接種等)が考えられます。
Q:病院に行かなくて良いの?
A:普段の生活に問題なく、受診は不必要です。
Q:他人へ感染する?
A:血液中にB肝ウィルスは見つかっておらず、感染の心配はありません。
・・・ま、考えすぎても意味がないってことですね。
終わりに
社会貢献の方法は献血のみにあらず。
今回の結果を知ったことは僕にとって非常に有益でした。これにより献血スタッフの労力を無駄に使わせることなく、かつ自分の時間や血液を無駄にすることもなくなるからです。
正直申しますと、少し残念なんですけどね。もう献血ができないのですから。でも、新たな知見を得られたことはやっぱり大きい。献血に行って本当に良かったと感じてます。人にB肝を移すのは当然、避けるべき事態ですし(輸血によって)。
もしかすると、皆さんも献血の結果、同じようなメールが届くかもしれません。その時はどうか落ち着いてメールの内容を読んでください。慌てることなく腑に落ちるはずです。
以上、献血体験記でした。