小説『君の膵臓を食べたい』読み終わりました。
いやぁ~ほんと、最高でした。感動。涙通り越して嗚咽でした。
貧弱な語彙では表しつくせない魅力があるこの小説、できれば多くの人に読んでほしい。
今回は感想を書くけど、可能な限りネタバレはしたくないです。が、どうしても物語を語る上でネタバレ要素もチラホラ出てきてしまうかも。可能な限り努力しますが、これを踏まえたうえで読み進めてくださいね。
物語の大筋
主人公は
理屈っぽくて内にこもりがちな本の虫(以下「少年」)
膵臓を患い、余命幾ばかりかの天真爛漫な女の子(以下「少女」)
年頃の高校生2人。この2人が織りなす人間関係の物語です。
「膵臓」「余命幾ばかり」でネタバレになっていると感じたあなた、この本はそんなワードで衣を剥がされるほど貧弱なプロットで構成されてないんですよ!
僕も最初はそのような頭で「あー、お涙ちょうだい的なアレですか?」というバイアスは拭いきれずに読み進めましたけど、最高の形で裏切られましたもん。感動のバットで真正面からぶん殴られてノックアウトです。
時間軸が無駄に交差するなど、読み手に思考リソースを要求する構図はほとんどありません。サクサクと、面白いくらい軽快に読み進めることのできる物語。「少年」の一人称で足踏みのしない、かといってジェットコースターでもない心地よい時間の流れを感じることができるでしょう。
ラストは・・・う~ん、とりあえず読んでください。僕はね、みんなにも感動のバットでぶん殴られてほしいんですよ(笑)んで、恥ずかしげもなく号泣してください。もし、おせっかいを伝えるのなら
職場で読むのは止めたほうが良いよ!
ってことかな。だって、泣きすぎて上司や同僚、顧客に腫れた目を見せるのは業務に支障が出るでしょう?
この本が伝えたいこと
「ありのままの自分でいる幸せ」
だと思ってます。これ結構難題で、社会に出て周囲と折り合いを付けることを学んだビジネスパーソンには特に空虚に響く美しい言葉なのですけどね。でも、すっごく綺麗で忘れてはいけない概念だと感じます。
難しいのはわかっていても、でもないがしろにしてはいけない。完全に忘れてしまったら、きっと心がどんどん荒んでペシミズムのスパイラルに陥っちゃう。現代社会というのはそういう暗黒感漂うフィールドなのだと思います。だからこそ、こういう美しい原則は北極星として、人生の道しるべとして掲げていくべきじゃないかな。
「人と関わることを諦めない」
次点でこれも重要なテーマ。
「自分と他人は別だから、割り切ってクールに考えよう、そうすれば自分も相手も傷つくことがないから」
諦念感を全身にまとって現代を生きる方が主人公の一人「少年」に上手に感情移入ができたのなら、北極の鉄扉の如くカチンカチンに固まった心を氷解させてくれるに違いありません。この小説には、そのパワーが満たされていると感じます。
管理人も一歩間違うとペシミズムに陥りがちなネガティブの素地を持っていますけど、でも、この本を読み切って「人と関わっていこう」と思わされましたよ。
「私たちの幸せ」を築こうと思える相手と出会うために
ちょっと遠回しで伝わり辛い表現ですが、つまり「ありのままの自分でいれて、それを見せられる相手と一緒になりたい」ってことですね。
恋愛っていうとどこか薄っぺらく感じてしまうのは、世の中に恋愛工学なる表面的なTIPSが跳梁跋扈しているからでしょう。
目的をどこにおくかにもよりますが、相手と動物的にまぐわること、または支配することを目的とするならばそのようなまやかしも有効なのでしょうが、僕が目指すのはそこじゃない。
綺麗ごとだけを並べるつもりはありません、自分にだってリビドーはあります。けど、人生を並走する、「自分の幸せ」を超えた「私たちの幸せ」を目指すことを決意させてくれる相手との出会いを希求したいのです。もちろん、待っていても現れないのでしょうから、欲しければ獲得する行動を起こすのでしょうが。
目的を「私たちの幸せ」の成就に置くのであれば、外せないのは「ありのままの自分でいる」ことじゃないかな。漠然としていて確信には至りませんが、でもここらへんに真理がきっと隠されているはずです。全く嘘を言わない清廉潔白な人間関係、という粗のない完璧なものではなくて、例えるなら「自然」であれること。
- 不必要に装わない
- 好かれたいが故の小細工を弄しない
- 相手をコントロールしない
- ジャッジメントを手放せる
- 表面的なタグで見ない
- 中身を、心を見る
- 関心を寄せる
こんな相手と出会いたい、いや、出会うために勇気ある行動を起こしたい。
この話は唐突かもしれませんが、小説を読み切ったらきっと理解できますよ。理想だけど、でも目指すべきところ。忘れがちだけと、心のどこかに置いておきたい人間としての道しるべ。男女間の恋愛、では比喩できないヒューマニズムを秘めた本です。
・・・というわけで『君の膵臓を食べたい』紹介させていただきました。
ま、実際に読んだら良いです。一気に来ますので、どうか腰を据えて物語にダイブしてください。戻ってこれなくならないように気を付けて(笑)
「君の膵臓を食べたい」読了。まだ頭がぼんやりする。完膚なきまでに作中に引っ張り込まれた。ラストは号泣通り越して嗚咽。仕事の中休みじゃなくて良かった…
— 羆 (@poji_higuma) 2017年2月27日
映画化されました!
早速観てきましたよ~!!
感想はこちら。