禁煙外来へ行くも治療を断念した思い出話などを書く。
禁煙外来体験記と挫折理由
あれは5、6年前のことだろうか。当時も現在と同じく喫煙してはやめたい、喫煙してはやめたいという喫煙の自己矛盾に悩まされていた。
そんな中で、「病院でも禁煙治療が受けられる」という情報を耳にし、早速行ってみた。
受付後にアンケート用紙のようなものを書いて、そのスコアが一定以上でニコチン依存症と判定し、保険適用の治療に移行する、という流れだった。条件はたしか、35歳以下で1日20本以上のたばこを吸う、だったように思える。今はたぶん、これが変わっているはず。変更後の条件は後程調べて書く。
次に呼気CO濃度の検査をする。紙の筒みたいなものをくわえて息を吹き込む。これにより呼気CO濃度が測定され、通常の喫煙者であれば、そこそこの数値が出る。ヘビースモーカーはこの数値が高い。僕はライトだったので数値は低かった。
で、医師の問診を受ける。そこで紋切り型の説明としては「喫煙の害」である。ある医院の医師は、たばこの最も恐ろしいところは動脈硬化だと断定した。かなり強く脅されたのを覚えているが、問診の内容は医師次第といったところ。
次いで看護師により禁煙の宣誓書へのサインを促される。これは、どこの病院でもやった。「〇月〇日 禁煙いたします」的なやつ。これで誓約の効果みたいのが高まるのだろう。
で、次に薬の説明。これが禁煙治療の主役で、薬の名は「チャンピックス」。脳のニコチン受容体に蓋をして、ニコチンによるドーパミンの放出を抑える効果がある。そのかわり、少量のドーパミンは出続ける。つまり、たばこを吸っても美味しくなくなる薬。
どんな説明を受けるかというと、薬の飲み方について。まず、効果が半分の薬をしばらく服用する。この時はまだ、喫煙を続けてもよい。次に通常の容量の薬を服用開始する。この時点から禁煙開始。
薬がなくなるころに、再び病院を受診して、経過を説明し、次の薬の服用を受ける。この時に呼気CO検査を実施するので、吸ってない、と嘘をついてもバレる。
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以上が当時の禁煙外来の流れだった。
で、効果はどうだったかというと、かなり効いた。1か月は禁煙できた。どうして効いたかというと、やはりチャンピックスの影響が大きい。あれを吸っているとたばこを吸いたいと思わない。脳をいじくる薬というのは、すごいものだなと思った。
しかし...
副作用に悩まされた。まず、ちょっと元気がなくなるというか、うつっぽくなる。常に少量のドーパミンを出し続けるというのは、こういう状態を引き起こすのだろうか。それと、変な夢を見る。説明が難しいが、摩訶不思議というか、見た後で頭を少し悩ませるような意味不明なものが多い。これも副作用のひとつらしい。
そして最大の障壁は吐き気である。とにかく吐き気がひどい。服用1か月を経過したあたりで、いよいよ吐き気が強くなって服用を止めてしまうのである。チャンピックスを服用して5分~10分で吐き気がほぼほぼ襲ってくる。そこから長い場合で1時間は吐き気をこらえなければいけない。
医師に相談して言われたとおり、多めの水で服用してみたり、吐き気止めを一緒に服用しても、全然だめ。チャンピックスは、僕の体には容赦なく吐き気を催す化学物質を含んでいたのである。悔しいことに。この吐き気さえなければ、今頃このような禁煙エントリは書いていなかったと思う。
吐き気により治療を中断、恥ずかしくて病院には行けず。そんなことを何度も別の病院で繰り返したから、複数の病院で禁煙治療の経験があるのである。医療機関側にとってみれば、いい迷惑?なのかもしれない...そういう想像をして、良心の呵責にさいなまれることもあった。でも、たばこはやめたい。自力で止めるのは難しい。医療の力を借りたい。が、薬は吐き気を催す...
このエンドレス喫煙地獄の末に僕は禁煙をあきらめ、電子たばこによるニコチン摂取というステージに突入するわけである。
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禁煙補助薬【バレニクリン】
禁煙外来で処方されます。
脳の中のニコチン受容体に作用する、ニコチンを含まないタイプの禁煙補助薬です。
離脱症状を緩和するだけでなく、喫煙による満足感を抑制する作用があります。飲み方
- 禁煙開始日7日前から食後に服用します。
1-3日は0.5mgを1日1錠、4-7日は0.5mgを1日2錠(朝夕食後)、8日以降は1mgを1日2錠(朝夕食後)服用します。服用開始7日間は喫煙しながら服用します。- 服用後8日目から禁煙してください。
厚生労働省のe-ヘルスネットより引用。画像の薬がバレニクリンとよばれるもの。日本では商品名がチャンピックスでファイザーから発売されている。
禁煙治療について
禁煙治療の歴史
- 2006年4月、禁煙治療に健康保険適用
- 施設基準を満たした施設で患者基準を満たす患者に対し12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用
- 2016年4月、35歳未満の方に対して喫煙本数や喫煙年数によらず保険適用
- 2019年5月までに16700を超える医療機関で禁煙治療の保険診療が実施されるようになる
禁煙治療を受けることのできる方
以下の要件をすべて満たした方のみ、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用
- ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
- 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
- 直ちに禁煙することを希望されている方
- 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
禁煙治療の内容
- ニコチン依存度の判定
- 呼気一酸化炭素濃度測定
- ニコチン依存度に合わせた処方
- 禁煙に対するアドバイス
以上参考はe-ヘルスネット
禁煙治療の内容は、僕が受けた当時のものと変化していなかった。
治療後に再び喫煙者に戻る人が多い
禁煙外来終了時はめでたく禁煙に成功する方が多いのだが、残念ながらその後に再び喫煙者に戻ってしまうこともまた多いようだ。
禁煙治療後の追跡調査を発表した資料をネット上で見ると、喫煙者に戻ってしまう人が多いため、通院後のフォローも必要では?という意見もある。
僕の職場でも禁煙外来で3か月間、禁煙に成功したにも関わらず、結局は喫煙者に戻ってしまう人の割合は8、9割かなという感覚で、禁煙というのは本当にままならないものだなと痛感する。
禁煙23日目、無事に3週間以上を乗り切ったわけだが、まだまだ始めたばかりで油断はできない。ただ、ちょっと心強いことが3つあって、1つは吸う場所がなくなっているということ。吸おうにも場所がないので喫煙欲求は抑えられる。1つはブログで禁煙ネタを毎日書くので、スリップするまい!と踏ん張るエネルギーになっている。1つは(最も大きいのは)断酒をしたこと。これで酒により理性低下からの禁煙失敗コースが考えられなくなった。
この3条件が揃っていることは過去にないので、今後は力強く禁煙を進めていけると思う。読者の皆様の応援も、禁煙の力になっていることをここで改めて述べさせていただく。
最後に。
僕はチャンピックス(バレニクリン)は体に合わず吐き気を催すので禁煙治療は失敗に終わった。しかし、吐き気を催さず服薬を継続できる方には禁煙外来というのはとても効果的で、おそらく3か月は禁煙できるかと思う。3か月も禁煙すれば保険適用の治療費のほうがたばこ代よりもずっと安いので、1回成功しただけでも経済的だし、周りにいる非喫煙者も喜ぶので一石二鳥だ。是非ともお近くの禁煙外来をやっている病院やクリニックに問い合わせの電話をしてみてほしい。