本日(2019年4月19日)公開の映画「キングダム」のネタバレ感想です。
各種リンク
公式サイト:https://kingdom-the-movie.jp/index.html
オフィシャルブログ:https://lineblog.me/kingdom_movie/
アニメDVD公式:https://kingdom-dvd.jp/
キングダム(漫画)Wikipedia:https://bit.ly/2UK3uM9
※記事内の画像は公式サイトを主に引用しました。
読んだら抜け出せないキングダム(漫画)の話
つい最近、キングダム(漫画)を読んで抜け出せない沼にはまってしまった、という出来事がありました。
以前にも1巻から40巻少々までを一気に読んだことがあるのですが、それからしばらくの時間が経過して新しい巻が出ているということ、さらに実写映画が公開されるということで自分の中でキングダム熱が上昇したのでしょう。
いやー、参りましたねほんと。手を出したのは週の頭だったんですけど、そこから終末まではほぼキングダムを読みふけり、ほかのことに手が付けられない有様で。まぁ、嬉しい悲鳴なんですけどね。
大人になってから、このように「時間を忘れる」エンターテイメントに出会えるというのは、そうそう無い機会なのかな、と思います。それだけ、キングダムというコンテンツは恐ろしい魔力を秘めている。読み始めて止まらない漫画は、数えるほどしか知りませんからね。
どうしてそんなに面白いのか?沼化するのか?という話は、以下の記事で存分に書いているので時間のある方は見てくださいね。
各キャラ感想
映画「キングダム」の感想は、各登場人物の感想という形で主に伝えさせていただきましょう。
信(山崎賢人)
山崎賢人さんは、今まで演じる役は熱血漢よりも、どちらかといえばよわよわしい根暗(失礼)気味な役を演じていることが多いように感じます。
が、今回は熱血漢の代名詞、といっても過言ではない、あの「信」を演じるわけですから、いったいどのような演技を見ることができるのか?興味は尽きませんでした。
結果的にどうだったかというと、お見事ですね。信のお馬鹿さ、真っすぐで暑苦しいところ、窮地からの踏ん張りなど、拍手喝さいを送らせていただきたいほどの「熱演」でありました。
もちろん、山崎賢人さんも経験豊富な名俳優ですから、信の熱血具合を渾身の演技で表現する一方、そこに青臭さや白ける要素などはなく、スクリーンの前にいる観客を春秋戦国時代に引っ張るエネルギーも満ち溢れているように感じましたね。
今回は漫画の1巻~5巻、王都奪還までを描いた作品ですので、信が兵士として、そして将軍として成長していく過程というのは、見ることができません。ですが、山崎賢人さんが演じる「信」が成長していく姿を、素直に見てみたいという気持ちにさせてくれる。
信を演じたのが彼で、大成功だったと思います。
嬴政・漂(吉沢亮)
※えいせい
信とともに奴隷(下僕)時代を生き抜き、信と兄弟以上の絆で結ばれた「漂」と、今回の主役ともいえる、のちに「始皇帝」と呼ばれる嬴政の2役を演じた吉沢亮。
あどけない表情の中にも、理知さが輝く笑顔の漂。
常に凛々しく、一刻を背負う重責を面影に落とす嬴政。
映画評は不得手なので言葉がなかなか出てきませんが、なんといっていいのか。吉沢亮が演じる漂も嬴政も、漫画の世界から飛び出してきたのではないか?と見まがうほど再現率が高かったですね。
ただ再現しているだけでは、もちろんありませんよ。迫真の演技はお墨付き。漂の殉職(?)シーンは映画開始間もなくして映画会場の観客を涙に包ませる威力を持っていました。すすり泣きの声がここまで早く聞こえる映画も、なかなかない。
奴隷時代の漂と、逃亡中ではあるが王である嬴政。この2人の表情や仕草の使い分けを、ここまで見事にやってのけるというのは、役者の力量がなせるわざなのだろうなーと。感嘆するばかりであります。
ベストキャストですね。
河了貂(橋本環奈)
※かりょうてん
鳥の被り物は再現率が半端じゃないです(笑)なんでも、スタッフさんが手作りで羽を1枚1枚くっつけて作成したという舞台裏があるそうですよ。
いやはや、橋本環奈でしたかー。「河了貂、可愛いすぎない?」と、あらぬ心配をしたくらいで。
実際に作中で鳥の被り物を脱いで素顔と名前を明かすシーンでは、真っ白いお人形のような顔を出して「河了貂だ」って言った瞬間「あー、やっぱり可愛すぎたわ」と思ってしまった。あ、これ褒めてますからね。
なお、橋本環奈は、河了貂が最初は性別を男と偽っている設定を忠実に守るため、背筋を丸くしたりガニ股で歩いたりと、女性らしさを奥に引っ込めるような努力をしたそうです。俳優さんというのは、ほんと、努力の塊みたいですね。役者魂とでもいうのでしょうか、こういうのは。
さらに、「あどけなさ」や「普通に殺し合いを恐れる」という部分も演じる上では意識したとか。確かに、橋本環奈演じる河了貂は、素朴で擦れてない雰囲気を醸し出していたようにも思えます。
河了貂は今後、軍師としての芽を出して成長し、信とともに軍で活躍し成長していくのですが、橋本環奈がこれを演じたら、どんな風になるのかなー?と正直思いましたねー。
昌文君(高嶋政伸)
※しょうぶんくん
さすがはベテラン俳優といったところ。血と泥にまみれて敗走する、王が最も信頼する家臣は、彼のような役者にしか演じられなかったと思います。
忠臣であり、王を慕い、尊敬するという姿勢は存分に見ることができますが、王宮の中で権謀術数をはりめぐらし、王佐の才を遺憾なく振るう昌文君は、今回見ることができません。できるとすればその片鱗で、山の民との同盟という策を献上するあたりでしょうか。
主に描かれる昌文君は、馬にまたがり疾走し武器を振るって戦う姿、あるいは王宮内に突入して絶体絶命の中でも諦めずに立ち上がる姿などです。
とにかく渋い、の一言に尽きる。
壁(満島真之介)
※へき
真面目一直線、地道に功を重ねて出世する「壁」は、イメージを崩さずに忠実に再現されているようでした。
が、ちょっと、ひとつ残念なことがあって。壁はこのあと紹介する「楊端和(よう たんわ)」の登場シーンで一目惚れしちゃうんですよね。その後も、秦軍として参戦した際に姿を見せた楊端和を見て、嬉しさのあまりあごを外したり。映画ではここらへんが描かれていないんですよ。壁の惚れちゃうエピソードがカットされているー!残念!
ま、山の民との交渉のシーンはかなりシリアスなものでしたからね。漫画のようにチョロチョロとギャグ要素を混ぜることは難しかったのかもしれない。
楊端和(長澤まさみ)
※ようたんわ
再現率高し!そして美しい!!
長澤まさみ演じる楊端和は、威厳と美しさ、強さを兼ね備えた、数十万の三民族を束ねる王に相応しいものでした。
やはり見どころは戦闘シーン!双剣で舞うかのような演武は、見ているものを圧倒する力があります。どんな多勢でも動じず、物怖じせず突き進んでいく彼女からは、勇気をもらえるでしょう。
強敵との肉薄!なんていうシーンも見たかったです。そういうのは、信がほとんど持っていってしまってますからねー。
成蟜(本郷奏多)
※せいきょう
嫌な奴を完璧に演じ切っていますね(笑)
ほんと、嫌な奴なんですけど、どうして彼がこのように振舞うのか?という舞台裏も知って頂ければ、成蟜にただ憎悪する、ということはないと思います。彼は彼で、とても可哀そうな事情があるんですよ。
それに、漫画キングダムでは成蟜は嬴政に味方して、王宮の覇権争いを大いに助け、挙句は愛する人を守るために剣を振るい、死んでいくというシーンもあります。
最初は嫌な奴なんですけど、味方に回ってからは成蟜をどんどん応援したくなるはずです。そして、殉職シーンにおいては、涙なしには見れないという出来になっている。
こういう「いい成蟜」も、本郷奏多には演じてもらいたいなと思いました。つまり続編希望ってことです(笑)
王騎(大沢たかお)
・・・大沢たかおの王騎、よいですね。素直な感想。
漫画ばりの体がドドンとデカくなる演出はさすがにできませんでしたが、「ンフウ」という独特の笑い声、雰囲気。出てましたねー。
漫画の王騎を再現、というよりも「大沢たかおの王騎」という新ジャンルが確立されたような感じで。どっちも殺さないで、むしろ新しいものが生み出された。これは、原作にとっても非常に良いことだと思います。漫画の再現をするなら、アニメでもいいわけですからね。
秦の怪鳥と呼ばれし大将軍、その得体のしれないオーラとカリスマ性。大沢たかおは、これをどのように演じるのか。是非とも作品を直接見て確認してほしいですね。
戦闘シーンは残念ながら、ほんのわずかです。しかし、振るった矛が大将軍の威厳と重みを伝えるには十分な1シーンとなっています。まだまだ、観たい。大沢たかおの王騎が観たいです。
山の民
あの、筋肉ムキムキの戦闘民族である「山の民」は、映画ではどう演出されるのか。登場までワクワクしてましたけどね。
体躯は膨らませるわけにはいきませんからね。普通の大人の身長で登場させると、まぁこんなものなのかなー、というのが印象でした。
ただ、爺さん婆さんコンビの再現率が半端じゃなく高かったですね(笑)「え、漫画そのままじゃんw」って思いましたもん。
それと、バジオウとタジフ。バジオウは平地の言葉を理解するというのが設定なのですが、映画では喋れませんでした。タジフは原作同様。この2人はメチャクチャ強いんだけど、今回ではその無双っぷりは信の活躍の影に隠れている、といった具合ですねー。やられる場面も多々ありますし。原作だと、バジオウなんかはほとんどやられない(笑)
左慈とランカイ
左慈が映画のラスボス的存在で、かなり強く描かれている。確かに原作でもその強さは際立っているといえば際立ってるのですが。まさかラスボス扱いとは。んで、信に対して「戦場に夢はない」と吐いて捨てる役割も担っていますね。それに対して信が反論し、打倒する。これで夢を追うことが前向きに描かれる演出となっています。本当に剣技を持つ役者さんが演じるだけあって、殺陣がほかと一線を画しているというのは、素人目にも明らかでしたねー。
それと、ランカイです。いったい、どうやって描くのだろうか、と見ていたのですがランカイはさすがにCG混じりでしたねー。それと、登場の順番が左慈と逆。原作ではまず左慈と戦い、その後に王都奪還編のラスボスとしてランカイが登場するのですが。物語の締めに信と、戦場と夢について思想をぶつけ合う・・・にはちょっと無理なキャラですね、ランカイ(笑)
☆総評
冒頭で繰り広げられる、信と漂の木剣での決闘。これを見た時点で「あ、この映画はアクションに力を入れているな」というのがわかります。アクションを楽しむ映画ですね、キングダムは。
物語としては、薄い。内容が薄いというわけじゃないですよ、映画だけでその中身を深く落とし込み、背景を想像した上で各登場人物に感情移入する、というレベルには至らないということです。ここらへんは、やっぱり漫画に軍配が上がるのかなと。
漫画を知らずに映画を観た人は、ワーっと話が進んでいって、あっけなく王宮を奪還するスピーディなアクション映画、と映るでしょう。それはそれで、とても面白い作品になっていると思いますけどね。
キングダム新聞などでは、作者は「1巻~5巻までの展開では、映画に軍配が上がる」的なことを述べていましたが、僕はやっぱり、漫画派ですね。映画も良かったんですけど、どうしてもディティールとかギャグ部分では抜け落ちてしまう。そういう細かい部分も含めて、沼としてのコンテンツになると思います。
と、ここまで漫画をひいきに感想を書きましたが、キングダム好きとしてはやっぱりこの映画が大成功をおさめて、大ヒットしてほしい、と思うわけです。そして、その暁には、続編が産まれるかもしれない。ここに期待したいのです。
しかし、続編を作るなら、漫画キングダムのどのあたりを切り取ったらいいのでしょうかねぇ。やっぱり、王騎将軍を描くのであれば、彼が死ぬシーンまでを結末に遠征編で切り取られるのでしょうか。そうなると、合戦のシーンなんかは、大変そうですね。あと、羌瘣(きょうかい)という管理人一押しの可愛らしい暗殺剣の使い手がいるんですけど、彼女を誰が演じるのかに興味が尽きないですねー。ってか、羌瘣を主役にした映画を作ってくれてもいいよ!っていうくらいに羌瘣が好きなんですけどね?
以上、ざっくりとでしたが、映画「キングダム」感想でした。泣ける、心躍るアクション超大作って感じですねー。春秋戦国時代を描く作品が、これをきっかけに増えるといいんだけどなー。