たばこは・・・
値上げすればするほど喫煙率が下がる
という事実を!!
2020年の東京オリンピックに向けて政府がたばこ値上げに本腰を入れそうですね。「これでたばこ売れるの?」だとか「喫煙率に影響は?」など疑問は尽きないかと存じます。
専門書を参考に、ある程度の予測を立てるとともに「たばこ1箱1000円への値上げに賛成」の立場から所感を述べたい。
たばこの価格弾力性
価格弾力性とは例えば
Aという商品を10%値上げした場合に需要が5%下がったとすると
需要の変化率/価格の変化率=値
この値が1より大きいと「価格弾力性が高い」、1より小さいと「価格弾力性が低い」と表します。
先ほどの例ですと価格弾力性は0.5となりますので「価格弾力性は低い」となります。
では、たばこの価格弾力性はどれくらいなのでしょうか?
多くの場合「0.2~0.8程度におさまることが多い」とのこと。
タバコの場合、消費の価格弾力性は-0.2~-0.8の間に収まることが多い。
http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/201412/gakkaisi_141226_84.pdf
つまり、たばこの価格弾力性は低いのです。値上げしても需要の低下が小さい嗜好品ということですね。ほかに代替するものがないわけですから、価格弾力性が小さいことは不自然ではありません。
たばこ増税は政府の増収
たばこの価格弾力性は低い。なので値上げしても買う人は買います。あくまでも従来の値上げ幅で考えれば、の話です。1箱10000円になれば流石に価格弾力性の上げ幅は大きくなるのでしょうが。
値上げしても売れる。これは政府の増収に直結します。本来であれば商品の値段を上げすぎると売れなくなるのが道理なのですが、たばこの専売制や依存性のアドバンテージをフルに活かして、あからさまな値上げでも収益を上げてしまうという力技を見せつけてきます。
ですから、「1箱1000円にしちゃったら税金とれない!」と考えている人は改める必要があります。むしろガンガン値上げしたほうが良いのです。個人的には1箱2000円くらいにまで引き上げていただきたい。金はとるべきところからとるべきです。あまりまっとうとは言えませんが、この政策は富に再分配にもなりえるのです。
通常、タバコ税を上げると、タバコ消費量の低下を上回る税収増がもたらされるため、政府の税収が増える。
http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/201412/gakkaisi_141226_84.pdf
喫煙率の変化
「じゃあ値上げしても意味ないじゃない!」そんなことはありません。これまで述べたようにたばこの値上げは増収に繋がります。さらに中間層~富裕層から税金を集めることができるので富の再分配に繋がります。
今回、もっとも強調したかったのはたばこ値上げにより
未成年や低所得層の喫煙率が低下する
このメリットです。
未成年や低所得層のたばこに対する価格弾力性は高いそうです。収入が乏しいのですから、嗜好品といえどもさすがに買えなくなるのでしょう。
例えば月に手取りで12万円しかもらえない赤貧生活を送る人が1か月に20箱吸う喫煙者だったとしましょう。従来400円だったたばこが1箱1000円になったら、出費が12000円も増えてしまいます。月収の実に1割。食費に並ぶ勢いです。これでは買い控えるのも無理はありません。
少ないお小遣いで悪さしている未成年についても同様です。
たばこの依存性は高いですが、離脱症状は他の依存物質に比較して軽い部類であり、借金してでもたばこを吸うような人は少ないと考えます。ギャンブルや酒の依存とはまた違ったものですからね。値上げを機に止めざるを得ない人があとを絶たないはず。
タバコ税と小売価格の値上げによって、値上げの影響を受けやすい低所得階層あるいは低所得国のタバコ消費量が減るため、健康格差を減らす闘いを支援することができるという点も重要である。
http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/201412/gakkaisi_141226_84.pdf
まとめ
たばこ1箱1000円に値上げすべき理由は
- 増収となる
- 富の再分配をもたらす
- 未成年や低所得層の喫煙率が下がる
以上の3つになります。
もうね、ガンガン値上げしたほうがいいんですよ。僕ももともとは喫煙者なので毛嫌いはしたくないのですが、未成年や低所得層までスパスパ吸うのはいただけない。
値上げしたらこういう人たちの喫煙率は下がるかもしれない。迷わずやっちゃってくれ!お金がある人は周りに煙を吸わさないようにして大いに楽しんでくれ!
参考書籍は
こちら。参考文献や世界的潮流、各種データに基づいて禁煙を学べる良書です。ちょっとお高いですけど、たばこのことならこれ一冊って感じ。
受動喫煙罰則化への動き
2016年11月2日追記です。
受動喫煙防止に罰則 消費者団体や業界から賛否の声 | NHKニュース
厚生労働省は不特定多数の人が出入りする施設を中心に喫煙を規制し、違反した場合は管理者と喫煙者に罰金を科す方向で検討を進めています。
「不特定多数」とはおそらく消防法でいうところの、デパートや飲食店などを指すものと思われます。
こちらの「特定防火対象物」の項を参照してください。おそらく、少なからずここで記載されている建物と連動するでしょう。
厚生労働省は、今後も業界団体などと協議を進め、早ければ来年の通常国会に必要な法案を提出する方針です。
来年の通常国会で提出...東京オリンピックに向けてたばこの廃絶を急ピッチで進めるつもりでしょう。紙たばこを愛用している方は、iQOSなど電子タバコに移行すことも検討してみてはいかがですか?